1. ヒト胆道癌細胞株と血管内皮細胞(ヒト臍帯静脈内皮細胞)との接着能を評価し、それに関わる細胞接着分子を解析した。 2. 胆道癌細胞株の血管壁内皮下の間質への浸潤能をn vitro invasion assay(1型コラーゲンゲル使用)にて評価した。 『結果』 1. 胆道癌細胞株の血管内皮細胞との接着能は由来癌組織の癌の分化度とは関連がなく、MZ-ChA-1(高分化型癌)、TGBC-1、TGBC-44、TBCN-6(低分化型癌)で強く、SK-ChA-1、KMBCで弱かった。いずれの胆道癌細胞表面にもシアリルLe^X、シアリルLe^aが発現していた。シアリルLe^X、シアリルLe^aを抗体によってブロックすることによって癌細胞と内皮細胞との接着は細胞の種類によって有意に抑制された。また、内皮細胞上に発現するELAM-1(シアリルLe^X、シアリルLe^aのリガンド)をブロックすることによって、癌細胞と内皮細胞の接着は極めて強く抑制された。したがって、ELAM-1とシアリルLe^X、シアリルLe^aとの接着が胆道癌細胞、血管内皮との接着に重要であることが示唆された。 2. in vitro invasion assayを用いた浸潤能の評価において、TGBC-44以外の低分化型癌由来の細胞株(SK-ChA-1、MZ-CLA-2、TGBC-1、TGBC-51)は高い浸潤能を示した。一方、TBCN-1以外の高分化型癌由来の細胞株(MZ-ChA-1、KMBC.KMBC-Hep、)の浸潤能は低かった。in vitro invasion assayにおいて胆道癌細胞株の浸潤能は分化度と関連があることが示唆された。以上はInternatinal Journal of Oncologyに発表した。浸潤能に関与する分子については現在検討中である。
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