昨年度の研究により、HP接種後MNU10ppm、20週投与スナネズミ群では19匹中7匹に胃癌が発生し、HP非感染コントロール群に比べ有意に胃発癌率が高いことが判明した。今年度、同群を用いて追試実験を行ったところ、20匹中7匹に胃癌が発生し再現性が確認された。この2回の実験で発生した計14例の胃癌について癌組織型と腸上皮化生との関連を検討した。HE染色、ABPAS染色、GOTS-PCS染色を行い、胃型形質高分化型胃癌、腸型形質高分化型胃癌(腸型)、印環細胞癌及び低分化型胃癌に分類したところ、それぞれ2例、2例、9例及び1例であった。これらのうち、腸型のみが、スナネズミ1匹あたりの腸上皮腺管数が非担癌個体群よりも有意に多く、また癌病巣が腸上皮化生と隣接して存在する所見が認められた。以上から、胃癌のうち腸型のみが腸上皮化生との関連が示唆された。これらの結果について、第58回日本癌学会ワークショップ、XII th Workshop on Gastroduodenal Pathology and Helicobacter pylori(Helsinki)、消化器科30巻等で発表した。
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