雑種成犬を用いた肝内結石症の実験モデル作成に関して: 肝内胆管と十二指腸の内瘻作成で高度の胆管炎が併発するので死亡率が高いことが判明した。そこで内瘻術に際して用いるステントチューブの口径と長さにより胆汁鬱滞と上行感染が相反して起こっているためと考えられたので、小動物のサバイバル実験を基礎実験として作成することとした。まず、Wister ratを用いてPE50カテーテルを4cmで総胆管と十二指腸を内瘻してやるとさらに門脈片側の結紮を加えても1ヶ月でも死亡は全くなく生存したことを確認した。しかし肝葉の萎縮は認められるがまだその期間では肝内胆管に結石や泥状物は明かではなく、そこで3ヶ月の期間を有するであろうと思われる当初の予定通りに4匹のラットモデルを作成して現在飼育中である。もしこのままラットモデルで結果をみることができるならば動物種を雑種成犬からラットに変更することも考慮している。モデル作成の待ち時間に以下のサンプルがでたときの測定系の確立を行った。 血清サンプルでの測定にて: 血清の8oxo-dGTPの測定に関してはヒトサンプルでの測定に成功して担癌患者での有意な上昇を認め、キャリプレーションをラットもしくは雑種成犬用ににする事で利用できると思われた。またHepatocyte Growth Factor(HGF)の測定は肝萎縮代償性肥大に関係して上昇し、また発癌に関してもプロモーターとして作用することが知られいるので有益であると考えられたので測定系の確立を行った。 細菌培養に関して: ヘリコバクターピロリ(H pylori)は胃粘膜で胃十二指腸潰瘍や胃癌の発生に深く関わっていることが知られているが、肝内結石症患者の胆汁中にH pyloriが証明されることがあることと肝内結石症を有する胆管上皮は胃粘膜様の化生変化みられることから肝内結石症との関係が話題になっている.そこでH pyloriの培養とその胆管内投与を実験系に加えることを計画してH pyloriの純培養を試みている。
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