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1998 年度 実績報告書

肝・胆道癌の増殖・進展に関与する細胞周期関連癌遺伝子・癌抑制遺伝子の解析

研究課題

研究課題/領域番号 10770617
研究機関佐賀医科大学

研究代表者

北原 賢二  佐賀医科大学, 医学部, 助手 (30264162)

キーワード肝臓癌 / 胆道癌 / 細胞周期 / サイクリン / p16 / p27
研究概要

肝臓癌・胆道癌における細胞周期関連癌遺伝子・癌抑制遺伝子による細胞周期の制御と癌化との関係を明かにするべく、Glサイクリン・cdkインヒビターの蛋白の発現を比較検討した。これらにより癌の組織型・深達度・進行度分類・リンパ節転移との相関関係を明らかにすることで、肝臓癌・胆道癌の進展・増殖における細胞周期関連因子の重要性を明らかにすることを目的とした。【肝臓癌】肝細胞癌切除症例59例を対象とし、cyclin A,D1,Eの各蛋白発現を検討した。cyclin Aでは全症例の19.0%に発現が認められ、cyclin A発現群は非発現群に比較して有意に予後不良であり(p=0.0006)、また、再発までの期間もcyclin A発現群において有意に短期であった(p=0.001)。肝細胞癌においてcyclin Aの発現は、予後および再発までの期間と有意な相関が認められるものの,各病理学的因子との相関はなく,cyclin Aの発現は独立した予後規定因子になりうる可能性が示唆された.【胆嚢癌】胆嚢癌切除症例40例を対象とし、細胞周期関連因子(cyclin A・D1・E・p16・p27)の蛋白発現を検討した.細胞周期関連因子:cyclin D1の高発現群は予後不良(p=0.019)であったが,予後と相関する各病理学的因子(n,pn,ly)とcyclin D1発現との統計学的相関は認められなかった.cyclin A高発現群においてはvとの相関が認められ(p=0.048)、cyclin E高発現群ではlyとの相関(p=0.032)が認められた。cyclin Aとcyclin Eの発現はそれぞれ単独では予後との有意な相関は認めないものの、両者の発現パターンには有意な相関が認められた(p=0.0075)。細胞周期を負に制御するCDKインヒビターであるp16・p27の発現は予後・病理学的因子との相関は認められなかった。多変量解析の結果、予後と有意な相関を示す因子はcyclin D1の高発現であった。胆嚢癌においてcyclin D1の発現形式は予後を規定する新たな因子になりうる可能性が示唆された。このような細胞周期制御を司る各遺伝子の蛋白発現の肝臓癌・胆道癌における総合的かつ詳細な報告はほとんどないのが現状であり、癌の進展・増殖・転移のメカニズムとの関連を明らかにする上で重要であるばかりでなく、細胞周期を抑制するような新しい抗癌剤の開発や遺伝子治療に結びつくと考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 森 倫人 他: "予後規定因子からみた肝細胞癌切除後の治療方針" 日臨外会誌. 59(10). 2477-2483 (1998)

  • [文献書誌] Aogi K.: "Telomerase activity in lesions of the thyroid:application to diagnosis of clinical samples including fine-needle aspirates" Clin.Cancer Res.4(8). 1965-1970 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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