研究概要 |
Comparative genomic hybridization法(CGH法)は腫瘍DNA中の遺伝子コピー数の増加ないし減少を,1回のhybridizationで同時に検出し,しかもそれらの領域をすべての染色体上にマッピングできる優れた方法である.CGH法により食道癌の遺伝子異常を広範囲に検討し,未知の遺伝子異常の検索を行った。 【対象】 現在までに行った検体は食道扁平上皮癌細胞株(TE-series)TE1,TE2,TE3,TE4,TE5,TE6,TE7,TE8,TE9の9株である。(TE7は腺癌由来) 【方法】 腫瘍DNAをSpectrumGreen-dUTP,正常組織由来DNA(正常ヒトリンパ球)をSpectrum Red-dUTP(Vysis社)で標識し,これらをCot-1DNA存在下でヒト正常分裂中期染色体に対し競合的にhybridizationさせ,CCDカメラにて宙光画像を取り込みデジタル信号化して,染色体・遺伝子解析システム(soft ware:isis^<TM>,Carl Zeiss社)を用いて,宙光輝度の比より染色体上の増幅,欠失なとのゲノム異常を検索した. 【結果】 緑と赤の蛍光強度比が1.2以上をコピー数の増加とし,0.8以下をコピー数の減少と判定した結果,食道扁平上皮癌細胞株9例全例に染色体コピー数の変化を検出した,また,高頻度に認められたDNAコピー数の増加は3P,5P,7p,8q,11q,14q,20qに,DNAコピー数の減少は4q,18qに認めた. 今後,c-erbB,cyclinD1,p16,RBなどの既知の遺伝子異常とCGH法による異常とを比較し、CGH法の遺伝子異常検出能の検討を進める.
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