家兎の正常肝に対してレーザーの出力、露光時間等の条件を変えてTMRレーザー照射を行い、至適条件を決めた。 家兎(NewZealand White Rabbit)に対してネンブタールを静脈注射し麻酔した。開腹し、レーザーの出力、パルス幅等条件を変えてレーザー照射し、肝臓の1葉に対して複数の小孔を作成した。2カ月後に再度静脈麻酔を行い開腹した。頚動脈から左室内にカテーテルを挿入し、マイクロスフェア(Zr)を注入した。大腿動脈内にカテーテルを留置し、これよりレファレンスの採血を行った。肝臓を摘出し、in vitroで微小血管造影を行った後、レーザー照射した肝葉とそれ以外の肝葉に分けて固定し、それぞれのマイクロスフェア量を蛍光X線分析器で測定した。血管造影は、摘出した肝臓の肝動脈にカテーテルを挿入し肝動脈造影を行った。線源は高エネルギー物理学研究所の白色光をヨードのk吸収端直上のエネルギーレベルに単色化したもの(33.3keVの単色放射光)を用い、乳腺撮影用の蛍光板上に蛍光像を作った。この像をアヴァランシェ型ハイビジョンカメラで撮影し画像処理を行った。 心臓のレーザー照射では、左室壁を貫通したレーザー光は心室腔内の血液によって減衰し、対側の心筋壁を障害することはないが、肝臓においては容易に貫通し周囲の臓器を障害する。肝臓の厚さによって貫通しないように出力を変えるのは実際的ではなく、重要臓器を損傷しないようにレーザーの方向を決め、貫通させてしまう方が容易であった。レーザー照射した肝葉の血流が増えていることはマイクロスフェアのカウントでは明らかにできたが、血管造影では組織の厚さが障害となってレーザー照射の効果を証明できなかった。
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