大腸癌の新しい治療法として遺伝子治療が注目されている。その基礎実験として大腸癌疾患モデルMin mouseを用いた動物実験を行う。Min mouseは一定の週齢になると消化器に腺腫が発生し、その後発癌する。このmouseの遺伝型はAPC遺伝子の片方に突然変異が存在することが知られている。正常粘膜のStem-cellの正常なAPC遺伝子に突然変異が起こり、腺腫が形成される。そこでAdeno virus Vectorを用い正常のAPC遺伝子を持つAdeno virusをMin mouseの消化管に注入し正常のAPC遺伝子を微小絨毛のstem-cellに導入できれば大腸腺腫の発生を防ぎ、大腸癌の発生を予防することが可能と思われる。 本年度の研究実施計画 APC遺伝子8535ベース全てをRT PCRで増幅するのは困難なので、exon 1から14までの約2キロベースをmRNAからRT PCRで増幅する。APC遺伝子は臓器によって発現するmRNAの長さが異なるので(alternative splicing)、正常マウスの腸管からIso-gen kitを用いてmRNAを抽出し、逆転写酵素(Reverse Transcriptase)でcDNAを作製する。exon 1から14に特異的な塩基配列にSubcloningしやすい様に制限酵素のsiteを付加したPCRプライマーを作成し、GeneAmp Kitを用いてPCRを行ない正常マウスAPC遺伝子exon 1〜14を増幅する。適当なPlasmidにSubcloningする。同時にexon 15に特異的なPCRプライマーを作成し、exon 15を増幅し、上記のPlasmidに結合し、APC遺伝子8535ベース全長を構築し、neo遺伝子(ネオマイシン耐性遺伝子)を組み込む。現在、この導入遺伝子を作製中である。
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