研究概要 |
我々はフッ化ピリミジンのbiochemical modulation時の遺伝子発現の変化の有無を確かめるべく、1998年12月からpilot studyをおこなってきた。現在までに胃癌35例・大腸癌36例合計71例に対して無作為割付をおこない、術前化学療法として、A群 Tegafur(FT)800mg/m2 単独 B群 Tegafur 800mg/m2+CDDP3mg/m2のニ群の化学療法を行った。腫瘍の治療前後のTS、DPDのmRNA発現レベルを測定したところ、CDDPをmodulatorとして用いたB群では胃癌症例ではTS、DPDともに高値となる傾向がみられたが、統計学的な有意差はなかった。大腸癌症例ではTSに関しては胃癌と同様であったが、DPDはB群で有意差をもって(DPD/GAPDH比;1.16±1.3 vs 2.04±2.2,p<0.05)高値となった。このstudyからはmodulation時にこれらの酵素の遺伝子発現が影響を受けている可能性が高いことが予想されたので、本研究ではこれを出発点に、modulator投与群としてLV使用群も加えた三群間の比較を行い、研究の信頼性を上げるために症例数も十分にとって有意差検定を行う予定である。
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