研究概要 |
ヌードラット同所性移植肺モデルにおけるR-94138の転移抑制効果ならびに腫瘍増殖抑制効果の検討 1. 転移モデルの作製 1) 6週齢,雄性ヌードラット(F344n-rnn/rnv)をエーテル麻酔下に開腹し,盲腸漿膜下に大腸癌由来の高転移株KM12SM cell(2×10^6個)を注入し,4〜5週後に盲腸を切除した. 2) 経時的肺転移巣の組織学的所見は,3週目では,間質を誘導する微小転移巣が確認され(この時期に腫瘍の新生血管が形成される),5週目には肉眼的肺結節として認められ,約7週目にほぼ100%に肉眼的に肺転移を認めた. 2. R-94138のKM12SM cell増殖能に対する影響(in vitro)各濃度のR-94138添加によるKM12SMの細胞増殖に及ぼす影響を細胞形態ならびに細胞数により検討したが明かな抑制効果は認められなかった. 3. 大腸癌治癒切除モデルにおけるR-94138の肺転移抑制効果(in vivo)細胞注入後以下の3群に分けエーテル麻酔下に犠牲死し,盲腸移植巣,肺転移巣を検索した.control,切除直後投与,切除3週目より投与の3群に肺転移率(7週目)に差を認めず.また盲腸原発巣,肺転移巣の平均腫瘍最大径,平均湿重量とも有意差は認めなかった.以上より今回の検討ではR-94138による明かな増殖抑制効果は認めらなかった.今後は上記同所性移植大腸癌治癒切除モデルを用い,血管新生抑制剤であるCGS27023Aによる肺転移巣増殖抑制効果,特に血管新生期前および後投与による抑制効果を明かにし,本剤による術後補助療法の有用性を検討する予定である.
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