研究概要 |
ラットの大腸癌の肺転移モデルを用い,体外循環施行群と非施行群での腫瘍径を比較し悪性腫瘍増殖に及ぼす体外循環の影響について検討した. 1,転移性肺腫瘍実験モデル-腫瘍細胞rat colon adenocarcinoma(RCN-9)の細胞浮遊液(1.5x10^6/50μl)を作成し,F344ラット(体重250-300g)の肺に直接穿刺注入し,転移性肺腫瘍モデルとした.しかし,穿刺10日後に犠牲死させ確認したが,結節が形成されていなかった.今回は浮遊液を作成した腫瘍細胞の増殖力がなく腫瘍結節が形成されなかったと考えられる. 2,実験施行-腫瘍注入したラットを注入後3日目にエトレン及入麻酔下に挿管し,エトレンにて維持麻酔下に超小型体外循環回路,低流量ローラーポンプを用いて体外循環を施行した.回路内充填量は約1800必要であった.また,流量は当初30ml/kg/minを考えていたが,右頚静脈から挿入する脱血カニューレをtwo stage typeにすることで過度の陰圧による脱血不良を攻善でき,約50ml/kg/minの流量を十分取れるようになった.よって,長時間の麻酔の影響を回避する為,体外循環時間を30分間とした.実験群は体外循環施行群(1群)と非施行群(2群)の2群に分け比較した. 3,判定方法-腫瘍注入日,体内循環後(注入3日後),注入10日後に体重測定を行った.また,腫瘍注入後10日目に犠牲死させ,ホルマリン潅流固定後に両肺,脳を摘出したが腫瘍結節は認められなかった. 今後は,腫瘍細胞を生着させ,左肺の結節腫瘍の腫瘍径を病理組織にて比較したい.右肺,脳については病理組織学的に転移の有無を比較検討する予定である.2群の方は体重減少を認めた.
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