研究概要 |
【背景と研究目的】 骨髄細胞は虚血環境下において新生血管増殖因子を産生する事が知られている。動脈硬化による虚血性心臓病や末梢血行不全に対して、虚血領域に自己骨髄細胞移植を行えば、血行再建ができる可能性がある。本実験では、末梢血管閉塞モデルを用い同種骨髄細胞を移植し血流改善の効果を検討した。 【実験方法】 Wistar Rat(250-350g,Male)を用い、左大腿動脈を鼠径靭帯直下から膝窩まで結紮した。 -実験群- A群:骨髄移植 (n=3) B群:生食水注入 (n=5) A群ではDonor骨髄(別のラットの大腿骨から採取)を0.3ccのheparinに溶解し左大腿筋に分注した。 Color microspheres(15micrometer diameter)を腎動脈下腹部動脈から大腿動脈結紮直後(red)及び4週間後(yellow)注入した(6000sphere/Rat weight-g)。犠死させた後、両大腿筋単位量あたりのMierosphereの吸光度(血流量に比例)の左(患側)/右(健側)の経時的変化を評価した。 【結果】 A群:虚血作成時36.2±12.3%だったものが、4週後76.8±15.3%と著明に改善したのに対し、 B群:43.6±18.3%から56.8±22.3%の改善にとどまった。 【考察及び今後の展開】 元来この実験はDogの虚血心を用いて自己骨髄移植を用いた新生血管療法を研究するものであったが、心筋梗塞を作成時に2匹死亡したため、Ratの末梢血管モデルに変更して行った。実験数が少いためまだ明確ではないが、骨髄を移植することで新生血管を増生させ血流改善効果が認められるようである。今後数を重ねると共に、血管造影、免疫病理染色、Western Blotting等を行い、メカニズムの解明を進める予定である。
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