目的:本研究の目的は抗原ペプチドを用いた受動免疫による肺癌の治療モデルをヒト肺癌移植SCIDマウスにて作成することであるが、その予備実験として、再現性のあるInfluenzamatrix protein由来ペプチドワクチンによるCTLを誘導試みた。 実験(1):HLA-A2陽性健常人の末梢血リンパ球を分離調整し、放射線照射(2 Gy)および抗asialoGM1抗体にて前処理されたSCIDマウスに連続5日間、計2.5x10^7個静注した。20日目に犠牲死させ、脾細胞中のヒトリンパ球を蛍光標識された抗CD3抗体にてflowcytometryを用いて検出したところ全脾細胞中の1%以下であった。以上の実験を3回繰り返すも同様の結果であったため、実験(2)のごとく系を変更した。 実験(2):放射線照射(2 Gy)および抗asialoGM1抗体にて前処理されたSCIDマウスの腹腔内にHLA-A2陽性健常人の末梢血リンパ球(2x10^7個)を投与したところ7日目にもヒトリンパ球が腹腔内単核球の30%存在が認められたが、脾細胞中には認められなかった。そこで5、10、15日目にHLA-A2拘束性のCTL epitopeを有するInfluenza matrix protein由来ペプチドをloadしたヒト樹状細胞(1x10^6個)を腹腔内に投与し、20日目に腹腔内のリンパ球を採取し、HLA-A2陽性EBウイルス変異B細胞にInfluenza matrix protein由来ペプチドを提示させた標的細胞に対するCTL活性を^<51>Cr放出試験にて検討したところ、E/T比40/1にて15%の活性を認めた。 同様の実験をHLA-A2拘束性p53/MAGE-3ペプチドにても行い、CTLの誘導を確認し、移植ヒト肺癌細胞に対する治療モデルを作成していく。
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