研究概要 |
現在までに以下の既知、未知の遺伝子が単離された。 既知遺伝子:neuritin, MGC-24,cystatin C, 78-KDglucose-regulated protein,liver cytochrome c oxidase subunit Via 類似遺伝子:mouse Sek, mouse PLP/DM20, hamster SCAP, mouse BMP receptor II,human transcription factor E2F-4 未知遺伝子:11種類 既知遺伝子の一つはbone morphogenetic protein(BMP)receptor IIであった。BMPは腹側中胚葉誘導因子、神経管の背側化誘導因子として知られる。そこで、BMPに関連する遺伝子の発現を未分化のAP14細胞で調べてみると、この細胞はchordin,nogginという神経上皮誘導因子、Shhという神経管の腹側化誘導因子も発現していることがわかった。これら中胚葉、外胚葉の形成に関わる因子,しかも拮抗しあう因子が神経系幹細胞に発現していることは興味深い。また、これらの因子が神経系幹細胞の分化にも関わっている可能性が示唆される。 単離された別の遺伝子としてneuritinがある。この遺伝子は分化途中の神経細胞で発現しており、神経突起の伸展を促すと報告されている。また、Sekの属するEphファミリーは神経投射の特異性に関係していると報告されており、PLPはオリゴデンド口サイトに発現しているタンパクをコードしている。BMPがグリア誘導因子である可能性も示唆されていることから、これら神経分化、グリア分化に関わる遺伝子の発現は、幹細胞の多様性を反映していると考えられる。 未知の遺伝子も11個単離されており、今後のさらなる解析が必要である。
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