私は昨年度の本研究で、3分虚血負荷後3日目以降にスナネズミ脳室内へプロサポシン関連ペプチドを投与すれば、海馬CA1領域の神経回路再構築や学習行動障害の軽減が観察される可能性があることをつきとめた。従って、今年度の本研究では、3分虚血負荷後、3日目にプロサポシン関連ペプチドをスナネズミ脳室内に持続投与し、その効果を判定した。また、一次培養神経細胞を用いて、プロサポシン関連ペプチドの作用機序についても解析した。3分虚血負荷後3日目より4日間のみプロサポシン関連ペプチドを投与した群ではvehicle投与虚血群に比べて、受動的回避学習実験の反応潜時が有意に延長し、海馬CA1領域錐体神経細胞の傷害ならびにTUNEL陽性細胞の出現も有意に抑止された。また、プロサポシン関連ペプチドにより変動する遺伝子群をしらべたところ、Bcl-x_L遺伝子産物が候補として検出された。目下、これからの研究成果をもとに論文を作成するべく準備中である。
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