本研究は、神経幹細胞を用いて神経難病であるパーキンソン病の新たな治療法を見つけだすための基礎研究である。平成10年度は神経幹細胞の採取、培養法の確立、遺伝子導入用ベクターの調整を目的として研究を行った。 1 神経幹細胞の採取、培養法の確立 胎児および成人ラット脳とくに海馬、脳室周辺部からの採取を試みた。2週間程度の初代細胞培養にて幹細胞と予想されるコロニーをターゲットとし長期培養に取り組んだ。長期培養において細胞コロニーは形成されるもののほとんどが線維芽細胞様であり、幹細胞とはっきり同定されるものは得られなかった。再度、手法および培地等の改良の上、免疫染色での検討により神経幹細胞の同定を行っている。 2 遺伝子導入用ベクターの調整 遺伝子治療の新技術としてレトロウイルスベクターによる遺伝子導入法が注目されているが、より力価が高く、導入効率の高いシュードタイプレトロウイルスベクターを開発してきた。今回、従来のものと比較し、力価は数百倍高く各種の細胞に遺伝子導入が行われることを再確認した。 平成11年度は上記の結果を踏まえて以下の検討を行っていく。 l 神経幹細胞の同定と大量培養 2 遺伝子導入幹細胞の作成 3 パーキンソン病モデルラットへの脳内移植
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