研究概要 |
現在までにマイクロダイアリシスによるグルタミン酸(GLU)の微量測定には酵素を利用した系が確立されているがこの系ではGLUトランスポーターの拮抗剤L-trans-pyrrolidine-2,4-dicarboxylate(tPDC)を測定することができないので、この研究を行うためにGLUとtPDCを同時に微量測定する系を確立する必要がある。そのためにortho-phthalaldehyde(OPA)を用いる従来のアミノ酸測定に使用されている高速液体クロマトグラフィーと蛍光検出器を組合わせた系(HPLC-FD)でGLUとtPDCを微量測定する系を確立することを行った。HPLC-FDでアミノ酸を測定する方法には二つの方法がある。アミノ酸とOPAを反応させて逆相カラムで分離し測定するプレカラム法とアミノ酸を順相カラムで分離し、それからOPAを反応させて測定するポストカラム法がある。まず、プレカラム法で移動相にリン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、または、酢酸緩衝液を使用し、有機溶媒としてメタノール、アセトニトリル、または、エタノールの濃度勾配を利用した方法でGLUとtPDCの分離を行ったがうまくいかなかった。次にポスト法の検討を行ったところ、GLUとtPDCの分離もうまくでき、またGLUとtPDCの検量線も書くことができようやく当初の目的である2分間毎に測定する微量測定方法が確立できた。砂ネズミを使用した両側総頸動脈閉塞による6分間の虚血では、マイクロダイアリシスによるGLU濃度は虚血直後から増加し続け、再開通後減少しベースに戻ることが確認できた。今後、この方法を使用し、透析液中にtPDCを加えた場合のGLU濃度の変化を検討する。また、シナプトゾームの調製に関しては、脳組織からシナプトゾームを超遠心分離して、シナプトゾームがどれだけの率で分離できているかを確認するために電顕標本を作製中である。
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