PKC特異的阻害剤によって誘導されるグリオーマ細胞のアポトーシスについて次の諸点を検討した。 1. イムノブロット法によりCaspase-1および3の活性型の出現を調べたところ、カルホスチンC投与後、経時的にCaspase-3の活性型が検出されたが、Caspase-1では変化がなかった。またCaspase-3のよい基質であるPARPの限定分解がCaspase-3の活性型の出現と同期していた。同様に、カスペース特異的基質を用いたプロテアーゼ活性化能解析でもCaspase-3の活性は経時的に増加したが、Caspase-1は不変であった。 2. カスペース阻害剤による抑制効果の検討(1)細胞形態:Ac-DEVD-cho(Caspase-3阻害剤)、z-VAD-fmk(広範囲caspase阻害剤)により核の凝縮は抑えられたが、Ac-YVAD-cho(Caspase-1阻害剤)では抑制されなかった。また細胞膜表面のblebbing形成はすべての阻害剤で抑制されなかった。(2)トリパンブルー色素除外法により生細胞率の変化における各種阻害剤の効果を検討したところ、細胞死に対する抑制効果を認めなかった。(3)アガロースゲル電気泳動法ではAc-DEVD-cho、z-VAD-fmkにてDNA ladder形成は抑制されたが、Ac-YVAD-choでは抑制効果が弱かった。(4)PARPの限定分解はCaspase-1阻害剤以外のカスペース阻害剤で抑制された。 3. ミトコンドリア機能の解析(1)FACS scanによるDiOC_6の解析では、カルホスチンC投与後、経時的にDiOC_6の低下が認められ、ミトコンドリア内膜の機能低下が示唆された。(2)イムノブロット法により、カルホスチンC投与後、経時的にチトクロームCの細胞質分画へ放出を認めた。
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