PKC特異的阻害剤によって誘導されるグリオーマ細胞のアポトーシスについて次の諸点を検討した。 1、ジアシルグリセロールキナーゼアッセイおよび薄層クロマトグラフィー(TLC)により、スフィンゴ脂質(特にセラミド)の動態を解析した結果、カルホスチンC投与後、数時間でセラミドの活性化が認められた。 2、イムノブロット法により、カルホスチンC投与後数時間で、PKCδ/εの膜分画から細胞質分画への移行が確認された(これはPKC活性化による移行の逆)。 3、ミトコンドリア機能の解析:(1)FACS scanによるDiOC_6の解析では、カルホスチンC投与後、経時的にDiOC_6の低下が認められ、ミトコンドリア内膜の機能低下が示唆された。(2)イムノブロット法により、カルホスチンC投与後、経時的にチトクロームCの細胞質分画への放出が認められた。(1)、(2)はともにcaspases阻害剤z-VAD.fmkにより阻害されなかった。一方、(1)のDiOC_6の低下は、F_0-F_1プロトンポンプ阻害剤であるオリゴマイシンにて阻害されたが、(2)のチトクロームCの細胞質分画への放出は、オリゴマイシンにて抑制されなかった。 4、イムノブロット法で、Bax蛋白の細胞質からミトコンドリアへのtranslocationがカルホスチンC投与後1時間で認められた。また、ミトコンドリアでのBax-homodimerの形成はtranslocationより遅く、約6時間後に認められた。
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