1、対象と方法 20羽の日本白色家兎の両側の大腿直筋をその血管茎のみで連続した状態とし一側を実験側、対側を対照側とした。刺激電極は神経筋接合部に、記録電極は筋腹中央部、基準電極は可及的に抹消の筋肉内に刺入固定した。実際の遊離筋肉移植における虚血時間を考慮して90分間動静脈を血管クランプで一過性に血流遮断した。3時間再環流した後、動脈血栓モデルとして動脈のみ再度1時間血流遮断し、静脈血栓モデルとして静脈のみを再度1時間血流遮断しもの用い、その後3時間再環流しCMAPを経時的に計測した。 2、結果および考察 動脈血流遮断群では虚血後20分まで一過性にCMAPの振幅が増大した後、振幅の低下が著しく、35分で振幅が半分以下となり、60分以内にCMAP導出不能となった。潜時は経過時間に比例して延長したが、その変化は軽度であった。静脈血流遮断群も動脈遮断群と同様な結果であったが、CMAPの振幅低下は緩やかで、60分以内にCMAP導出不能となったのは60%であった。今回の結果からCMAPモニタリングにより遊離筋肉移植における血行障害の発生から10分程度の早期から鋭敏かつ客観的に検知できることが示された。また本法は継続的な血行モニタリングが可能で、深部に移植した筋肉でも刺激電極を留置することにより応用でき有用である。またmonitoring flapが必要なくなり整容面での利点もあげられる。現在では皮弁を必要としない筋肉移植例について臨床応用も行っている。
|