【目的】今までの私達の結果よりラット大腿神経運動枝・知覚枝を切断縫合後、遠位運動枝のcholine acetyltransferase(CAT)活性が遠位知覚枝のCAT活性より有意に増加した。これは、運動枝内の再生運動神経線維が知覚枝内の再生線維に比べ選択的に軸索径が増大もしくは再生運動神経数が増加したためであり、これををCAT活性とKarnovsky染色を用いて検討した。 【方法】実験1:大腿神経を運動枝と知覚枝の分岐部よりやや近位で切断しシリコンチューブで架橋し神経断端間隙が2mmとなるようにする。遠位運動神枝・知覚神経を回旋しない群(非回旋群)と180゚回旋した群(回旋群)を作成し、術後4週以降継時的に遠位運動技・知覚枝より神経片を採取し運動神経軸索を特異的に染色するKarnovsky染色を行い運動神経軸索数と軸索径を画像処理・解析システムを用いて測定する。 実験2:神経断端間隙を4mmとする実験1と同様なモデルを作成する。術後4週以降継時的に遠位運動枝・知覚枝より神経片を採取しCAT活性と運動神経軸索数と軸索径を測定する。 【結果】実験1 正常運動枝内の運動神経軸索数は平均314個であり、非回旋群、回旋群とも継時的に軸索数が増加しており術後24週で運動枝で119(非回旋群)、116(回旋群)、知覚枝で112(非回旋群)、124(回旋群)であり両群とも運動枝と知覚枝間に有意差を認めなかった。 実験2 非回旋群では術後48週を除き術後4〜36週で運動枝のCAT活性が知覚枝に比べ有意に高値を示した。回旋群では術後8、16、36週で運動枝のCAT活性が知覚枝に比べ有意に高値を示した。 【考察】術後4週の結果をみると回旋群で運動枝と知覚枝のCAT活性に有意差がなく、以前行ったgap2mmの実験でも非回旋群、回旋群とも運動枝と知覚枝のCAT活性に有意差を認めなかった。また、両枝内の運動神経軸索数に差がないことから再生初期では運動神経に選択的再生能はないと考えられる。しかし、術後継時的に運動枝のCAT活性が高値となり知覚枝に比べ有意に増加していることから運動枝肉の再生運動神経軸索径が選択的に増大した可能性が示唆された。現在、軸索径を計測中である。
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