下肢再灌流障害は、四肢の切断後などの外傷後の血行再建術後などに認められ、四肢機能にたいして重篤な障害を与える原因となっている。近年再灌流障害において好中球の役割が注目されている。また好中球に対して走化能をもつサイトカインとしてIL-8が注目されており、再灌流障害においてもIL-8が重要な役割をもつと考えられるようになった。今回家兎再灌流障害を兎の大腿直筋モデルを用いて筋組織への好中球浸潤とIL-8の役割について検討した。兎の大腿直筋を3.5時間虚血後24時間再灌流をおこなったところ、大腿直筋の広汎な壊死と組織間の浮腫を著しくみとめた。浸潤細胞は大半が好中球であった。好中球の浸潤は、再灌流後6時間ぐらいから増加し、24時間後には最大となりその後は減少した。再灌流後48時間では、浸潤細胞は大半が単核球となり、好中球はほとんどみとめなかった。虚血時間を4時間にした場合90%以上の筋細胞の壊死を生じた。抗IL-8抗体で再灌流後24時間の筋組織を免疫染色したが、IL-8の産生は不明確であった。IL-8の再灌流後の好中球浸潤に与える影響を検討するため抗IL-8中和抗体を投与した。抗IL-8抗体10mgを再灌流前に投与した場合、再灌流後の筋組織への好中球浸潤は抑制される傾向にあった。IL-8の局在については不明確であったが、再灌流ごの筋組織への好中球浸潤にはIL-8が重要な役割をもっていると考えられた
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