研究概要 |
牛中足足根骨関節より採取した軟骨細胞をアルジネートゲル中に包埋し軟骨細胞の3次元培養を行った.軟骨細胞をアルジネートビーズ中で培養することにより軟骨細胞は本来の形態を有したままで細胞周囲および細胞外に基質を産生した.軟骨破壊において重要な役割を果たすIL-1を作用させると単層培養系や器官培養系と同様に軟骨基質の遊離の促進と軟骨基質合成の抑制を認めた. 次に軟骨代謝において最近注目されている一酸化窒素(NO)の軟骨細胞に対する作用を検討する目的でNO合成阻害剤の存在下で軟骨細胞の培養を行った.No8合成阻害剤の存在下では培養液中のNO量はコントロールの1βに減少した.培養液中のNOを消去することにより軟骨細胞周囲の基質(cell asociated matrix)と細胞外の基質(further removed matrix)のプロテオグリカン量は減少した.軟骨細胞のDNA合成能およびグリコサミノグリカン合成能は有意に抑制された.更に,ヒアルロン酸のレセプターと考えられているCD44の発現を免疫組織染色法で検討したところCD44の著明な発現低下を認めた.以上のことより恒常的に存在するNOが軟骨細胞の機能維持に必要なことが示唆された. 現在,NOが消去された状態でのアポトーシスの有無,ガスメディエーターやサイトカインの軟骨細胞に対する作用をアルジネートビーズ培養法で検討中である.
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