研究概要 |
本年度は、I.ステロイド投与によるラット椎体の骨塩量、骨代謝動態、骨強度の変化、II.アジュバント関節炎におけるステロイド投与の効果について検討を行った。 I ステロイド投与による骨塩量、骨代謝動態の変化: 方法)6週齢の雌性Sprague-Dawley(SD)ラット110匹を用いた。生食をvehicleとし、10、30、90、270mg/kgのPSLを実験開始時から週2回筋肉内投与した。実験開始時、実験開始後14日目および28日目に屠殺し、血清と第3・4・5腰椎(L3,L4,L5)を採取した。 結果)270mg/kg投与群では骨塩量が対照群と比較して有意に低下していたが、体積と骨塩量で補正した骨強度は14日で対照群と比較して有意に高値であった。骨形成のパラメータは270mg/kg投与群で対照群と比較して有意に低下していた。 II アジュバント関節炎に対するステロイドの効果: 方法)6週齢の雌性SDラット130匹を用いた。0.5mgのMycobacterium butyricumを右足蹠皮下に接種してアジュバント関節炎を惹起した。実験Iと同様にPSLを投与して、血清と腰椎を採取した。 結果)関節炎対照群の骨塩量、骨強度および海綿骨量は非関節炎群と比較して有意に低値であった。PSL治療群では骨塩量と骨強度が関節炎対照群と比較して有意に高値であった。海綿骨量は270mg/kg投与群で関節炎対照群と比較して有意に高値であった。28日では関節炎対照群の破骨細胞面は非関節炎群と比較して有意に高値であったが、PSL投与群の破骨細胞面は関節炎対照群と比較して有意に低値であった。 本年度はアジュバント関節炎ラットに対するPSL投与が腰椎の骨密度、海綿骨量、力学特性の指標の低下を防止したことを明らかにした。
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