部分液体換気法(Partial liquid ventilation(PLV))は、perfluorocarbonを気道内に注入した状態で従来からの人工呼吸を行う方法である。今回、F19-磁気共鳴画像法(MRI)により、PLV中の液相-気相の分布形態について分析を行った。 【方法】ニホンシロウサギを麻酔下に気管切開、人工呼吸を開始した。肺傷害群では、中心静脈カテーテルより0.10〜0.12ml/kgのオレイン酸を静注し、肺傷害モデルを作成した。PLVは、perflubron 15ml/kgを気管内チューブから投与により、開始した。対照群では、オレイン酸投与を行わずに、PLVのみを施行した。次にウサギを深麻酔下に屠殺、空気により気道内圧を変化させ、F19-MRIによる断層撮影を、仰臥位にて行った。 【結果】MRIでは気体の共存により信号強度が弱くなるため、含気のよい部分で信号が弱くなる。信号強度は、圧・容量曲線上のいわゆるLower Inflection Pointをこえる気道内圧で、気道内圧の上昇に伴い、気相の分布が腹側から背側にかけて減少し、その部分での含気を示唆した。30cmH_2Oでは、対照群では、ほぼ肺野全体に含気が認められたのに対して、肺傷害群では、PLV下でも、含気が生じていない領域の存在が示唆された。 【結語】15ml/kgのperflubronを用いたPLVにおいて、perflubronは0cmH_2Oではほぼ肺野全体に分布したが、加圧にともなう気相の分布は不均一で、non-dependent領域からdependent領域にむけて順次広がった。PLVにおいて、吸気ガスとperflubronを接触させるためには、Lower Inflection Pointをこえる気道内圧をかけることが有効だが、傷害された肺全体に含気をもたらすためには、高い気道内圧が必要となりうる。
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