n-alcoholsの麻酔作用はc鎖の増加とともに増強するが、C12付近で突然消失する(cutoff)ことがin vivoで知られている。今回我々はin vitro中枢神経標本におけるcutoff現象を明かにする目的で、ラット海馬スライスCA1領域における興奮性シナプス後電位(Excitatory post synaptic potential)に及ぼすn-alcoholsの作用を検討した。 Wister系雄性ラットを麻酔後断頭し、海馬スライスを作製した。スライスは95%O2/5%CO2及び人工脳脊髄液(ACSF)を灌流したliquid/gas interface上にて37℃に保温した。Schaffer collateral fibersを刺激し、CA1領域における興奮性シナプス後電位(EPSP)を記録した。短鎖alcohol(C1-C7)は、直接ACSFに溶解し灌流適用した。長鎖alcohol(C8-C11)は、いったんethanolに溶解した後、ACSFに希釈した。 n-alcohols(C2〜C10)はEPSP slopeを濃度依存性に抑制した。 C2〜C6までのED50はmembrane/buffer partition coefficientに相関して減少したが、C8〜C10までは徐々にlevel offし、C11において作用か消失した。 in vitro中枢神経標本においてもcut offが認められたことから、少なくとも細胞レベルのメカニズムでcutoffが生じていることが明らかとなった。
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