研究概要 |
【方法】敗血症モデルのラット(300-350gの雄性Sprague-Dawley)はエンドトキシン(大腸菌由来のlipopolysaccharide(LPS)10 mg/kg)を腹腔内に投与することにより作成した。その敗血症モデルのラットの肺組織にアポトーシスが生じるかを検討した。LPSまたは生理食塩水を腹腔内投与した6時間後、ratを屠殺し,血清および15 mLの生理食塩水を用いて肺胞洗浄液(BALF)を採取し、ELISAにより血清およひBALFのTNF-alpha,IL-6の濃度を測定した。また、肺組織の固定標本を作成し、TUNEL (terminaldeoxynucleotidyl transferase-mediated fluorescence-labeled dUTP nick endlabeling)法により染色し、DNA傷害(アポトーシス)部位を計数した。 【結果】LPSを投与したBALFのTNF-alpha,IL-6、血清のTNF-alpha, IL-6は生食投与群に比し増加していた。このうち,BALFのTNF-alphaは極めて高濃度であることが明らかとなった。TUNEL陽性細胞は生食投与群に比し、LPS群で肺組織のTUNEL陽性細胞の増加が認められた。 LPS投与によって肺組織において産生された高濃度のTNF-alphaは肺組織を構成する細胞(肺胞細胞),マクロファージ,炎症により肺胞内に遊走してきた好中球のアポトーシスを引き起こす因子である可能性がある。今後,麻酔薬による作用を検討する予定である。
|