研究概要 |
平成10年度の研究テーマは、末梢神経機能測定装置Neurometer CPTを利用して,硬膜外ブロックによる神経分離遮断を神経選択的定量的に観察し,次の2つの項目を重点的に検討することであった。 1) 硬膜外ブロックに使用する局所麻酔薬の投与量の違いによる神経分離遮断の検討。 2) 硬膜外ブロックに使用する局所麻酔薬の濃度の違いによる神経分離遮断の検討。 われわれは、それぞれの研究に20名ずつの同意の得られた婦人科手術予定患者を使用し、手術前に第1腰椎間に挿入した硬膜外カテーテルから、1)の研究では1%lidocaine 10mLまたは2%lidocaine 10mLを投与、2)の研究では投与量を同じにして1%lidocaine 20mLまたは2%lidocaine 10mLを投与した.そしてその後、Neurometer CPTによる2,000,250,5Hzの3種類の周波数電気刺激に対する最小閾値と触,痛,冷覚消失域,さらに血圧,脈拍数を一定間隔で測定した。 その結果、1)の研究からは、硬膜外ブロックを施行すると分離神経遮断がおこることが観察され、神経遮断の程度は薬液の投与量によって変わることが確認された。また2)の研究からは、同じ投与量でも薬液の濃度が異なれば神経遮断の程度に差が生じることがわかった。 以上の結果は近く国際誌上にて発表予定である。
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