研究概要 |
1. エンドセリンがアナフィラキシーショック発症後早期にみられる気管支痙攣にどの程度関与しているかをアナフィラキシー家兎モデルを用いて検討中である。以下に示す研究2を研究1に先立ち行った。 2. phosphodiesterase(PDE)IV inhibitorは抗原抗体反応時に肥満細胞,好塩基球からの脱顆粒を減少させる。ウサギの全身型凝集性アナフィラキシーモデルを用いてPDEIVおよびIの選択的阻害薬であるKF19514のアナフィラキシー治療における有効性をin vivoで検討した。【方法】82羽のウサギを無作為に,I-1,I-2,I-3およびII群:アナフィラキシー惹起10分前にそれぞれ0.01,0.1,1mg・kg^<-1>のKF19514および生理食塩水を投与した群,III,IVおよびV群:アナフィラキシー惹起1分後にそれぞれ生理食塩水,KF19514およびアミノフィリンを投与した群,の7群に分けた。アナフィラキシー惹起後45分にわたり生存率,気道抵抗(RL),動肺コンプライアンス(Cdyn),心拍数(HR),平均動脈圧(MAP)および中心静脈圧(CVP)を持続的に観察した。【結果】生存率:I群はII群より,またIV群はIII群より有意に高値を示した。I-1,I-2,I-3群間で有意差は認められなかった。RL:I-2およびI-3群はII群より有意に低値を示した。Cdyn:I-3群はII群より有意に高値を示した。HR:I,II群間およびIII,IV,V群間で有意差は認められなかった。CVP:IV群はV群より有意に低値を示した。【結論】PDEIVおよびIの選択的阻害薬であるKF19514は,ウサギの全身型凝集性アナフィラキシーにおいて,アミノフィリンと比較して心血管系に対する悪影響が少なく,気管支攣縮を改善した。KFl9514は,アナフィラキシーの治療に有効であると考えられる。
|