中脳は中心灰白質を中心に心血管系の反応や、四肢の運動、発声などを引き起こす部位がモザイク状に存在していることが解明され、自律神経のみならず、体性神経系の特定の運動はパターンを統合する働きをしていると考えられている。除脳猫を用いた実験で、中脳の中心灰白質の微小電気刺激により排尿を誘発することを報告した(第5回日本神経因性膀胱学会)。そこで、刺激で反応のある部位に、ガラス管にエナメル線を張り合わせた電極を用いて、興奮性アミノ酸(DL-ホモシステイン酸)を微量注入し、膀胱内圧を測定し他の自律神経系や体の動きがないかを検討した。興奮性アミノ酸は、通過繊維を刺激せず神経細胞対のみ刺激する特徴を持っているため、神経細胞の局在がわかる。 電気刺激よりポイントは少ないが、主に中脳中心灰白質の腹外側に微量注入で、膀胱収縮を認め、同時に血圧の上昇が確認できた。また、橋の青斑核でも膀胱収縮を認めたが、血圧の上昇はわずかであった。中脳の中心灰白質の腹外側に前後に連なって排尿に関係する神経の細胞体が存在し、排尿調節に関与することが示唆された。今後、中脳と橋の神経経路を同定し、中脳と橋の関連性を検討する。
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