平成10年度においては以下の方法により患者末梢血よりのCTL活性の検出法及び誘導法について検討を行った。手術検体より樹立した腎癌細胞にX線照射を行った後、自己末梢血単核球と混合培養した。培地にはイシターロイキン(IL)-1、IL-2、IL-4、IL-6を添加した。誘導したリンパ球の自己腎癌細胞、非自己腎癌細胞及び自己正常腎細胞に対する傷害活性をCrystal Violet染色法を用いて検討した。以上の方法により腎癌細胞の長期培養が可能であった10例中9例において自己癌に対して傷害活性を示すCTLが誘導された、内2例ではphenotypeはCD4優位であった。非自己由来の腎癌細胞に対しては検討した8例中6例のCTLは傷害活性を示さなかったが、2例では一部の非自己腎癌に傷害活性を示した。6例において正常腎細胞に対する傷害活性を検討したが、CTLは正常腎細胞には活性を示さなかった。以上より、自己癌細胞が得られれば上記のサイトカインの絹み合わせによる培養法は高率に自己癌特異的CTL活性を検出でき、また長期培養も可能であることが示された。今後はCTL活性とインターフェロンを初めとするサイトカイン投与とCTL活性との相関あるいは、CTL活性とサイトカイン投与の治療効果との相関について検討を行う予定である。
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