研究概要 |
実験方法 1)阻血ー再灌流障害は、ラット腹部大動脈分岐部直上に血管クリップをかけ、またはずすことにより作成した。。この操作で膀胱の血流量は5-10%まで減少する。ここで様々阻血時間、再灌流時間を設定した。また一酸化窒素(NO)合成酵素阻害剤(L-NAME)を投与することによってその予防治療効果を調べた。2)in vivoで上記の実験動物の阻血ー再灌流時膀胱におけるNO合成量、血流量の変化をNO電極、レザードップラー計を用いて測定した。またこのとき上記薬剤によってNO合成量、血流量がどのように変化するかを検討した。3)様々な阻血ー再灌時間の実験動物(8週齢のWister rat)の膀胱を摘出し、この摘出した平滑筋標本から平滑筋切片を作成し、恒温槽にマウントしカルバコールを作動薬として収縮力を評価した。免疫組織学的にどのタイプのNO syntaseによりNOが産生されているか調べた。 結果 1)膀胱平滑筋の阻血ー再灌流における機能実験では阻血時間に比例して収縮力の傷害が観察された。阻血時間30分で収縮機能に障害が生じ、再灌流30分でその障害が増悪することが観察された。2)阻血30分前にL-NAME10mg/kgを投与すると再灌流障害はある程度防止でき、30,100mg/kgを投与すると有意に再灌流傷害は防止できた。NOは再灌流において増悪因子であることが示唆された。3)NO産生の変化は、阻血開始直後より増加し阻血開始約30分で平衡に達した(155.3%)。再灌流を開始するとNO産生が急激に低下し、ベースラインの90.1%で平衡に達した。4)阻血ー再灌流障害において主に障害される部位は粘膜下組織および平滑筋組織で、粘膜は光学顕微鏡での観察では比較的傷害されにくかった.eNOSは正常ラット膀胱の移行上皮に観察された。iNOSは阻血ー再灌流障害により浸潤した多核球に観察された。
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