1)精巣腫瘍局所よりHLA-A2拘束性癌特異的キラーT細胞株(CTL)を樹立した。 2)同キラーT細胞(CTL)は、HLA-A2拘束性自家癌細胞を含む癌細胞に対し細胞傷害活性性を示したが、試験管内で樹立した自己腫瘍細胞株に対しては、細胞傷害性を示さなかった。 3)そこで、自家癌細胞株がCTLからエスケープする分子機構を明らかにする目的としてHLA-A2の発現や抗原指示に関与する分子群(TAP、LMP)を解析したが、いずれも発現していた。従って、腫瘍抗原の喪失もしくは他のエスケープ機構が関与していることが示唆された。 4)以上、精巣腫瘍局所においてもHLA-拘束性キラーT細胞が存在し、特異免疫機構を担っていることが証明された。本研究では、樹立した癌細胞株がCTLよりエスケープしていたため拒絶抗原の同定まで至らなかった。今後、腫瘍抗原の同定などの研究が必要と考えられる。
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