Oscillinは近年ハムスター精子より同定された"sperm factor"である。研究者らは、すでに本研究の遂行に先立って、ヒト精巣よりoscillin cDNAをクローニングした。したがって、ヒト精子においてもoscillinが発現し、"sperm factor"として機能している可能性が高いことを明らかにしてきた。本研究では、ヒトにおいてoscillinをコードする遺伝子の構造を解析した。その結果、ヒトoscillinのopen reading frameは6個のエキソンより構成されていることが明らかとなった。さらに、ヒトoscillin遺伝子には、二個の非翻訳エキソンがopen reading frame上流に存在していることが明らかになった。したがって、ヒトoscillin遺伝子の遺伝子発現は、多重プロモーター機構によって組織特異的に調節されているものと考えられた。さらに、本研究では、多数例の男性不妊症例についてoscillin遺伝子の変異の有無につき検討を行ったが、遺伝子の変異症例は見いだせなかった。このことは、oscillin遺伝子が胚発生に重要な役割を果たしていることを示唆するものであると考えられた。
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