子宮内膜は胚を直接受容する組織であり、子宮内膜の分化に関する解析の意義は胚の着床およびその後の妊娠維持の機構を解明する上で非常に重要である。これまで、卵巣を中心とする内分泌学的検討がおこなわれてきたが、本研究の目的は胚そのものによる子宮内膜分化調節機構を解明せんとするものである。 5週令ICRマウスより子宮を摘出し、子宮内膜間質細胞を回収し、これに、エストラジオール(E_2 10nM)、プロゲステロン(P 100nM)を添加する群(脱落膜化群)と非添加群(非脱落膜化群)に分け8-well plate LabTek Slideで培養した。内膜間質細胞は、E_2とPの添加によって、肥大多核化し、デスミンの発現を認め、in-vitroにおいて脱落膜化が観察された。さらに、5週令ICR系雌マウスをPMSGおよびhCGにて過排卵処置し、雄マウスと交配させ、膣栓確認日をDay1とし、Day4に子宮腔内からブラッシング法にて回収したblastcystを培養9日目より脱落膜化群および非脱落膜化群に加え、さらに、21日間培養を継続した。非脱落膜化群の間質編胞は胚との共培養により、E_2とPの添加で認められた脱落膜脱落化変化が観察され、胚から何らかの脱落膜化促進因子が放出されている可能性が示唆された。また、脱落膜化群は、非脱落膜化群に比して、胚の面積が有為に増大し、E_2とPの添加による脱落膜の誘起は胚のoutgrowthに対して促進的に働いていることが示唆された。胚と子宮内膜間質細胞の共培養により前述したような相互作用が観察されたが、現在その機序を解析するため、Extracellular matrixの発現やEGF、IGF-Iなどのgrowth factorsおよびその受容体の発現を、ノーザンハイブリダイゼーション、免疫組織などにより検討中である。
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