5週齢ICRマウスより子宮を摘出し、子宮内膜間質細胞を回収した。エストラジオール(E2)10nMとプロゲステロン(P)100nMを添加する群(脱落膜化群)と添加しない群(非脱落膜化群)に分けて培養を行った。培養14日目に光学顕微鏡で観察したところ、脱落膜化群の細胞は肥大、巨核化したが、非脱落膜化群では紡錘形の細胞であった。 培養14日目の子宮内膜間質細胞をABC法による免疫組織染色をおこなった。抗体は、抗デスミン、抗fibronectin、抗collagen抗体を用いた。脱落膜化群に観察され、非脱落膜化群に染色されなかったのは、デスミンであった。 また、培養14日目の子宮内膜間質細胞からRNAを抽出し、RT-PSR法でマウスプロラクチン、EGF、IGF-1、IGFBP-1、apg-1、apg-2の発現を検討した。脱落膜化群に発現し、非脱落膜化群では発現がみられなかったのは、プロラクチンであった。 以上の結果により、脱落膜化の指標であるデスミンとプロラクチンの発現が観察できたことで、in vitro decudualization系が確立できているものと考えられた。 また、培養7日目からマウス胚盤胞をそれぞれ脱落膜化群と非脱落膜化群の子宮内膜間質細胞に加え共培養を行った。培養14日目にRT-PCR法でマウスプロラクチンの発現を観察したところ、脱落膜化群と同様に、非脱落膜化群に胚盤胞加えた共培養群でもプロラクチンの発現が観察された。したがって、マウス胚盤胞から子宮内膜間質細胞に対して脱落膜化を促進する何らかの因子あるいはシグナルの存在が示唆された。
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