研究概要 |
1,11例の双胎妊娠に対して24時間同時胎児心拍数を収録、解析した結果、 (1)全症例で双胎両児の基準心拍数に有意な日内変動を認めた。また症例間では日内変動にvariationが認められるにも関わらず同一症例では双胎で同じパターンの日内変動であった。 (2)胎児持続性頻脈は11例中5例で片児にのみの出現、2例で両児に出現したが出現時刻は同期していなかった。 以上の結果より胎児基準心拍数の日内変動は外的要因、おそらく母体からの影響を強く受けており、一方持続性頻脈は胎児個々の因子において出現している可能性が強いと考えられた。 2,母体心拍数モニター(polar herat rate monitor vantage NV)および当科で開発した無拘束胎児心拍数記録計を用いて正期正常妊娠5例、異常症例(子宮内胎児発遅延、胎児軟骨発育不全、母体発作性上室性頻拍、母体精神分裂病合併症例)の母体、胎児心拍数の同時収録を行い解析した結果、 (1)胎児基準心拍数は母体心拍数と有意な相関を認め同様の日内変動を示すが胎児持続性頻脈の出現と母体心拍数には関連は認められなかった。 (2)正常では胎児心拍数日内変動に対して母体心拍数の位相が1〜2時間先進しているが異常症例においては母児の位相が同じである場合、母体が3時間先進している場合などが認められ、母児心拍数日内変動の関係に母児の異常が影響を及ぼす可能性が示唆された。 現在は母体体動計(actigraph)および双胎用分娩監視装置を用いた母児体動、母児心拍数の24時間収録を施行し、これらの日内変動の関係を解析中である。
|