細胞外マトリックスは組織の構築、形態を維持し、細胞増殖の足場だけでなく、細胞の成長、機能分化に重要な役割を呈している。この主要な構成成分であるコラーゲンとラミニンについてヒト子宮内膜、脱落膜および絨毛、さらには卵巣についてこれら細胞外マトリックスの発現について検討している。まず正常妊娠絨毛と胞状奇胎絨毛のラミニン-1の発現を検討し、胞状奇胎絨毛ではラミニン-1は正常絨毛に比較し、絨毛基底膜に強く免疫反応を示し、またノーザン・ブロット解析についても有意に発現の上昇を認めた。この結果を産婦人科の進歩51巻3号216-217に掲載した。つづいてヒト卵巣の卵胞発育に伴うVI型コラーゲンの局在を明らかにした。すなわちVI型コラーゲンは卵胞の莢膜細胞層とくに外莢膜細胞層に免疫組織学的およびin situ hybridizationの方法で証明した。このコラーゲンが卵胞発育に重要な役割を呈していることがわかった。この結果平成12年2月14日付けでFertility&Sterilityにacceptした。またマイナーコラーゲンであるXVI型およびXVIII型コラーゲンのモノクローナル抗体の作成に成功しこの発現を受精、着床過程にいて検討しているが、まずヒト子宮内膜においては子宮内膜腺の基底膜に発現が認められ、脱落膜では脱落膜細胞を囲繞する形で認められ、局在の変化が認められた。この結果を現在投稿の準備中である。
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