1)我々は昨年、無精子症の責任遺伝子の可能性のある遺伝子2つを得、そのうち1つはミトコンドリアDNAに、もう1つはpoly(A)binding protein-1(PABP-1)に相同性が高いことを突き止め、第17回日本受精着床学会総会(熊本市)にて発表した。 2)上記内容を日本受精着床学会雑誌に投稿し受理された。 その後、PABP遺伝子の突然変異が、その立体構造を変化させ細胞分裂の盛んな部分である精巣の精子形成に必要なmRNAの半減期を短縮させたりmRNAのtransformationを障害することより造精機能に多大な影響を与え、無精子症の原因となっている可能性を示唆する実験結果を得ている。さらに遺伝子が精巣特異的に発現しているかどうか、他臓器について検証中であり、またPABP-1遺伝子の立体構造の変化による酵素活性の低下が、細胞分裂の盛んな消化管や骨髄等の採精能力等に影響を与えているかどうかという点についても検証中である。
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