1 睡眠時無呼吸症候群で手術を行った患者からえられた正常下甲介粘膜を、培養液中でtissue explant caltureをおこなった。この際、慢性副鼻腔炎モデルを確立し、正常下甲介とその慢性副鼻腔炎モデルの比較を検討した。即ち、培養液中の正常下甲介粘膜にcystic fibrosisの原因であるcystic fibrosis transmembrane regulating gene (CFTR)のantiscnse cDNAを移入し、正常下甲介粘膜の慢性副鼻腔炎化モデルを作製した。これにより、同一個体での正常と慢性副鼻腔炎化の両方の下甲介粘膜をえることが可能となった。下甲介粘膜の培養でえられた培養液は今後の分泌液の解析のために凍結保存中で、分泌液の解析方法の予備実験中である。培養でえられた下甲介粘膜からはmRNAが抽出され、RT-PCR法により、慢性副鼻腔炎に発現されるムチンのmRNAを検討している。今回の実験に際して、慢性副鼻腔炎にはムチンの遺伝子のうちの数種が強く発現されていることがわかっている。 2 アレルギー性鼻炎にみられる鼻過敏性の解明の目的で、季節性アレルギーであるスギ花粉症を選んだ。特に、スギ花粉抗原に感作されているヒトで、スギ花粉症を発症している群と感作されながらも発症していない群に注目した。まず、ボランティア150人にスギ抗原で皮内反応をし、陽性となった者のうち、スギ花粉症をすでに発症している群と感作されながらも発症していない群を選択した。本研究期間でスギ花粉症のシーズンは平成11年2月から4月であり、この期間を利用して鼻汁、下甲介粘膜の擦過からえられるmRNAおよび血清を検討すべく、前値(平成11年1月)の検体を保存した。さらには季節中の3月と季節後の6月に同一者から検体採取する。
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