アレルギー性鼻炎患者における、末梢血好酸球表面抗原と臨床所見との関係を検討した。 すなわち、季節性のアレルギー性鼻炎患者(スギ花粉症患者)の末梢血好酸球について、CD35発現と臨床症状との関係、さらには経口抗アレルギー薬(IPD)の効果と、CD35発現との関係を検討する目的で、スギ花粉症患者の末梢血好酸球表面CD35発現を花粉飛散前、飛散前期、飛散後期、および花粉の影響がない夏期に検討した。スギ花粉症患者は抗アレルギー薬内服群、非内服群の2群に分けられた。各群の末梢血全血を用い、CD35とCD16の2重染色を行い、CD16陰性細胞を好酸球とし、flowcytometerでCD35陽性好酸球を測定すると、抗アレルギー薬非内服群では花粉量の増大とともに症状は悪化したが、CD35の発現は逆に有意に減少した。一方、抗アレルギー薬内服群では、症状の悪化は軽微で、CD35の有意な変化は認められなかった。このことよりスギ花粉症患者では末梢血好酸球CD35発現と鼻症状の重症度と逆相関が示唆された。 今後、既知のケモカインやecalectin、galectin-9のスギ花粉症患者の末梢血好酸球に対する遊走活性の検討、さらにはアレルギー性鼻炎患者好酸球によるサイトカイン産生と臨床所見との関係を明らかにし、アレルギー性鼻炎における好酸球機能の多様性を検討する予定である。
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