IL-5受容体からのシグナル伝達機構におけるJAKキナーゼの役割を検討する目的でdominant negative型のJAK2キナーゼを過剰発現した細胞株を樹立することを試みた。用いた細胞はIL-2依存性の細胞株であるMTH細胞であり、IL-5受容体(α鎖およびβc鎖)を遺伝子導入し再構築した細胞株MTH-αβを作成するとともにdominant negative型のJAK2を同時に遺伝子導入した細胞株MTH-αβ/DN-JAK2を樹立した。細胞株MTH-αβ/DN-JAK2では実際にIL-5刺激によるJAK2キナーゼのチロシンリン酸化反応はMTH-αβに比べて有意に抑制されており、MTH-αβ/DN-JAK2を用いることでIL-5受容体からのシグナル伝達機構におけるJAK2キナーゼの役割を検討できることを確認している。 それぞれの細胞株をIL-5で刺激を行い、誘導されるシグナル分子の活性化を比較検討を行った。MTH-αβ/DN-JAK2においてはIL-5刺激により誘導されるJAKlキナーゼのチロシンリン酸化反応は抑制されており、JAKlキナーゼの活性化にはJAK2キナーゼの活性化が必要であることが明らかとなった。さらにはSTAT5分子の活性化のみならずPI3キナーゼのチロシンリン酸化反応も抑制されていた。現在IL-5刺激により活性化されるRas依存性の経路に対する効果を検討中である。
|