研究概要 |
今回の研究において我々はネコを用いて耳鳴の中枢神経への影響について行った。我々はネコの脳溝がはっきりしているため脳側頭葉表面に存在する皮質聰覚野から容易に神経発火が記録出来ることを経験していた。今までの報告では第一次皮質聴覚野からの神経発火について検討されていたが、我々は聴覚連合野である第二次皮質聴覚野、前部皮質聴覚野も同時に記録することで、これら聴覚連合野についても耳鳴に関連しているか検討した。ダンクステン電極を第一次皮質聴覚野、前部皮質聴覚野そして第二次皮質聴覚野に刺入した。自発放電発火は、電極からの信号をコンピューターで分析し複合ユニットで記録された。音刺激に反応する誘発神経発火は、電極からの信号をフィルター(10-100 Hz)を通して記録されたlocal field potentials(LFPs)として得られた。各皮質聴覚野における特徴周波数はLFPsから測定された。全ての特徴周波数は2kHzから21kHz(平均7.136±4.072kHz)であり、第一次皮質聴覚野では5kHzから15kHz(平均6.797±2.758kHz)、前部皮質聴覚野では3.6kHzから21kHz(平均6.629±5.612kHz)そして第二次皮質聴覚野では2kHzから13kHz(平均8.176±2.964kHz)であった。 複合ユニットからの平均自発放電発火率は、第一次皮質聴覚野、前部皮質聴覚野そして第二次皮質聴覚野でそれぞれ3.3sp/s,3.9sp/s,3.1sp/sであった。 サリチル酸投与により自発放電発火数の変化は認められたが、特に第二次皮質聴覚野において有意に神経発火の上昇した。
|