蛍光粒子に関しては以下に示す研究結果と今後の課題が得られた。 1. 安全に体内を循環する粒子径は0.1-1μmであった。リンパ球と同等の10μmの蛍光粒子は肝臓、脾臓での捕獲が多く測定に実用的ではないだけではなく安全上も問題であった。逆に0.01μmでは蛍光点として検出器が補足することが困難であった。 2. ラットを使用した実験において粒子総数1×10^<11>粒子を濃度1×10^9/μlに調整し、注入速度1×10^9/秒で注入することが最も解析に最適な方法であった。本注入法が決定され、移動速度および血管分岐点における流路解析が可能であった。 3. 眼底血管を流れるフルオレセイン含有粒子はアルゴンレーザーを用いSLO(共焦点レーザー検眼鏡)で検出可能であった。一方、近赤外光を用いたインドシアニングリーン含有蛍光粒子は蛍光強度が弱くSLOでの検出は困難であった。インドシアニングリーンをより多く含む蛍光粒子を作成するかアルゴンレーザーまたはヘリウムネオンレーザーで励起可能かつ検出波長がフルオレセインと異なる蛍光物質を含有する蛍光粒子の探索が課題である。第3の蛍光物質を使用するためにSLOのフィルター変換装置にオプションで作成したフィルターを装着したところ良好な測定が可能であった。 4. 蛍光粒子には親水性が高いことが予想されたカルボキシル基で表面修飾された粒子を使用した。アクリジンオレンジで染色されたリンパ球と移動速度を比較したところ蛍光粒子の移動速度はリンパ球よりは遅かった。血管内皮との相互作用が考えられ、肝臓などの組織における蛍光粒子の取り込みを最小限にするためも最適な表面修飾検討が課題である。 5. SLOに関してはラットを用いた実験系では40度の画角で十分観察が可能でありより屈折率の高いレンズを用いたアタッチメントの必要性はなかった。
|