| 研究概要 |
ヒトパピローマウイルス(HPV)は角結膜の腫瘍性病変を引き起こすことが知られており,角結膜の腫瘍性病変から数種類のHPVが検出されている.当眼科学教室の過去5年間に組織標本が得られた角結膜の腫瘍性病変を対象にしてHPVのL1遺伝子の一部(約450塩基)をPCR法で増幅し,その塩基配列を解析した結果,squamous cell papillomaの7例中3例からHPV11型が検出され,carcinoma in situの2例中1例からHPV16型が検出された.また,もう一つのcarcinoma in situからは既知のHPVと約70%の相同性を有するPCR産物が検出され,この病変中に未知のHPVが存在する可能性が示された.
今回は,この未知のHPVと推定されたPCR産物が,実際にHPVの塩基配列の一部であることを確認するために,前回HPV11型,HPV16型,未知のHPVが検出された検体からL1遺伝子全体(約1500塩基)を増幅し塩基配列解析を行った.その結果,squamous cell papillomaから増幅されたLl遺伝子は既知のHPV11型と100%の相同性を有し,carcinoma in situから増幅されたL1遺伝子は既知のHPV16型と約99%の相同性を有していた.今回の一番の目的であるもう一つのcarcinoma in situから検出された未知のHPVのL1遺伝子全体の検出にはまだ成功していない.現在も引き続き未知のHPVのL1遺伝子全体の検出を試みている.
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