加齢黄斑変性の脈絡膜新生血管膜(以下CNM)の摘出手術成績をインドシアニングリーン蛍光眼底造影(以下IA)所見の型別に検討した。対象はCNM摘出術を施行した42眼(I型29眼、II型3眼、III型5眼、IV型5眼)である。検討項目は年齢とCNMの大きさ、視機能として術前、術後6、12ヶ月のthe logarithm of the minimal of resolution(log MAR)視力、小数視力について検討した。 結果は、年齢とCNMの大きさでは各病型に有意差はなかった。術後6、12ヶ月の視機能の推移を検討した結果、log MAR視力はI型、II型、III型で術前に比較し有意に改善したのに対し、IV型では術前に比較して低下していた。少数視力は0.1以上あれば拡大鏡を用いて新聞が読めること、0.5以上あれば読書が可能であることから0.1と0.5を基準にして検討した結果、I型では0.1〜0.4の症例が術前27%であったのに対し術後12ヶ月で63%と有意に増加していた。II型では0.1〜0.4の症例が術前33%であったのに対し、術後12ヶ月で100%に増加していた。III型では0.5以上の症例が術前0%であったのに対し、術後12ヶ月で40%に増加していた。IV型では0.1未満の症例が術前80%を占めており、術後12ヶ月で40%に減少したものの、0.5以上の視力の改善が得られた症例はなかった。前回、本症のCNMをIA所見により4型に分類した後、摘出したCNMの病理所見と比較検討した結果、IV型のCNMは血管が少なく、線維成分が多いことがわかった。感覚網膜や網膜色素上皮、脈絡毛細管板の萎縮が高度であることが推測された。今回の術後視機能の検討からIV型の膜は視機能改善があまり期待できないことがわかり、IA所見は脈絡膜新生血管膜の病理組織学的特長を反映していると考えられた。
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