研究概要 |
(網膜血管周囲ミクログリア細胞の分離、培養) 実験的ぶどう膜炎を生じ得る[Lewis系ラット(生後4日〜7日)の眼球を摘出し、網膜をラット眼より分離し、トリプシンで30分間消化後、Macrophage colony simulating factors(M-CSFs)とGranulocyte-macrophage CSFs(GM-CSFs),含有のメデイウムでそれぞれ一週間培養。その後、ミクログリアの吸着性を利用し、細胞分離した結果、網膜ミクログリア細胞の培養および分離に成坊した。GM-CSFsで培養した細胞数は、M-CSFsで培養した細胞数の約2.5倍であった。 (ミクログリア細胞の同定) 1. ミクログリアの細胞マーカーであるOX42,ED1抗原をABC法で染色した結果、分離した細胞の95%以下が両染色に陽性を示した。 2. 分離した細胞に蛍光色素で標識したLDLを貧食させ位走査顕微鏡で観察の結果、95%以上の細胞がLDLを貧食しており、網膜ミクログリア細胞に貧食能があることがわかった。 (抗原提示に必須な主組織適合抗原と共同刺激抗原の証明およびCSFsとIFN-γの影響) 1)GM-CSFsで培養したミクログリア細胞、2)M-CSFsで培養したミクログリア細胞、3)M-CSFsにIFN-γ加え24時間インキユベイトした細胞、の三つの細胞群をOX3(ラット特異的主組織適合抗原)OX6(Lweisラット特異的主組織適合抗原)、共同刺激抗原(ICAM,B7-1,B7-2)でインキュベイトし蛍光標識された抗体で細胞を標識後、FACS(蛍光標識細胞分離機)を用い各抗原を発現している細胞の蛍光強度を比較した。結果、OX3,OX6,B7rlはM-CSFs+IFN-γ群で陽性を示し、ICAMとB7-2は、どの細胞群も陽性を示した。 以上の結果から、網膜ミクログリア細胞は網膜の局所免疫を担当している可能性が強く示唆された。
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