研究概要 |
歯牙形成における転写調節因子であり,上皮一間葉相互作用に関係し,器官形成に重要な役割を担っていると考えられているMSX1,2遺伝子の歯胚における発現について検討した。 マウス胎児(胎生8日)をホモジナイズし,total RNAを抽出した後,転写し,cDNAゲノムライブラリーを作製した。MSX1,2の増幅領域を決定し,プライマーを作製した。 MSX1: ACTGTCTATTGCCGAGCGCG GGCCTCTGCATCCTTAGTTTCCAC MSX2: AACTGGAAAAGTTGAAAATGGC AAACAAAACAGGTCTTAGTGCC PCR法を用い増幅し,MSX1,2の各probeを作製し,PCRIIvector(invitrogen)に組み込み,Dig RNA Labelingkit(Boehringer Manheim)を用いin vitro transcriptionを行い,Digoxigenin標識single strand RNA probeを作製した。(MSX1:600bp,MSX2:400bp) マウス胎児(胎生15日,生後0日)の頭部を4%パラフォルムアルデヒド溶液にて固定し,パラフィン包埋標本を作成した。作製したprobeを50℃,16時間hybridizeさせる。DIGNucleic Acid Dtection Kit(Boehringer Mannheim),アルカリフォスホターゼを用いて発色反応を行い,光顕的に観察を行った。生後0日では骨形成部位にMSX1,2遺伝子のシグナルが認められたが,胎生15日,生後0日両者とも歯胚形成部位では明瞭なシグナルは認められなかった。この結果から,歯胚ではMSX1,2遺伝子の発現量が少なく,固定条件,hybridizeの条件等に左右されると考えられた。現在hybridizeの条件の検討と共に,凍結切片を使用したIn situ hybridization法を検討している。
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