研究概要 |
本年度はマウス下顎第1臼歯歯胚歯乳頭において生後2日まで存在する酸性ホスファターゼ陽性細胞を同定するため、各種抗マクロファージ抗体、主要組織適合性抗原抗体および抗樹状細胞抗体を用いた免疫組織化学と非特異的エステラーゼの酵素組織化学により検討した。 1、 抗マクロファージ抗体であるMac-2陽性の細胞が生後2日まで存在し、酸性ホスファターゼ活性を有する細胞がみられた。 2、 抗マクロファージ抗体であるMac-1およびMOMA-2陽性の細胞はほとんどみられなかった。 3、 抗マクロファージ・樹状細胞抗体であるF4/80陽性の細胞は胎生14日から歯乳頭にみられたが、F4/80陽性細胞は生後3日以降も歯乳頭に存在した。また、F4/80陽性細胞の一部は酸性ホスファターゼ活性を有していた。 4、 この時期の歯乳頭には主要組織適合性抗原抗体に反応細胞はみられなかった。 5、 抗樹状細胞抗体(NLDC-145,MIDC-8,33Dl)に陽性の細胞はみられなかった。 6、 酸性ホスファターゼ活性と同様に、非特異的エステラーゼ活性を有する細胞がみられた。マクロファージの中にも様々な表現型を有するものあり、サブポピュレイションが存在することが知られている。今回の結果から、マウス下顎第1臼歯歯胚歯乳頭において生後2日まで酸性ホスファターゼを有するMac-2陽性細胞またはF4/80陽性細胞が存在したことから、少なくともこれらの抗原を有するマクロファージである可能性が示された。
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