Actinobacillus aclinomycetemcomitans ATCC 43718株(serotype b)の培養菌体オートクレーブ抽出物をDEAEイオン交換カラムによって、同全菌体で免疫して得られたウサギ抗血清と二重免疫拡散法で沈降線を形成する2つの画分FractionA、Bを得た。また、温フェノール水法によってLPSを抽出し、これらの標品とA.actinomycetemcomitansセロタイプa、b、cのそれぞれに対するウサギ抗血清およびATCC43718 LPSに特異的なモノクローナル抗体との反応性を調べた。FractionA、Bからタンパクは検出されずほとんどが糖であることがわかった。SDS-PAGE後、銀染色をするとFraction A、B、LPSの泳動パターンはそれそれ異なっていた。二重免疫拡散法では、Fraction AとLPSはセロタイプaおよびbウサギ抗血清と反応したがセロタイプcに対する抗血清とは反応しなかった。加えて、FractionはATCC43718 LPSに対するモノクローナル抗体と反応したことからFraction AはLPSあるいはLPSの一部を含んでいることが示唆された。また、各々の表層抗原とC3H/Heマウス脾臓細胞から誘導されたサイトカインについてマウスのIL-4、IL-5およびIL-6に対して特異的なモノクローナル抗体を用いたELISA systemによって培養上清中に放出された量を測定した。その結果、LPSはマウスの脾臓細胞からIL-4、IL-5およびIL-6を産生させ、Fraction BはLPSと同様に3種のサイトカインを産生させたものの、IL-5およびIL-6の産生誘導能は低いことがわかった。一方、Fraction AはIL-4およびIL-5を明らかに産生誘導したが、IL-6はほとんど産生させなかった。A.actinomycetemcomitans ATCC 43718株から得られた細胞表層多糖抗原は様々なサイトカインを誘導することによって歯周病の発症や進行に関与していると思われる。
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