研究概要 |
平成11年度は,骨芽細胞様株細胞C20およびC26細胞を用い,以下の検討を行った。 【方法】C26およびC20細胞を1〜14日間にわたってそれぞれ培養した後,経日的に細胞を回収した。これらの細胞からRNAを抽出し,[α-^<32>P]dCTPで標識したラットosteopontin(OPN),bone sialoprotein(BSP),osteocalcin(OC),alkaline phosphatase(ALP)cDNAプローブを用い,これらのタンパクのmRNAの発現をNorthern blot法を用いて分析した。この方法で検出できないものについては,RT-PCR法でその発現を確認した。 【成績】C26およびC20細胞は培養6日目にほぼconfluentに達した。OPN mRNAは,両細胞において同様で,培養1日目から発現し,以後一定な発現を示した。ALP mRNAは,C26細胞では培養2日目から発現し,8日目までやや増加し,以後一定な発現を示したが,C20細胞においては,1日目から発現し,9日目までやや強度な増加傾向を示し,以後一定な発現を示した。なお,Northern blot法では,両細胞ともにOCとBSPのmRNA発現を検出できなかったが,RT-PCR法でOCの遺伝子発現のみを確認することができた。 【考察および結論】平成10年度の検討では,前骨芽細胞から骨芽細胞へ分化するとともにdecorinの遺伝子発現は顕著に低下するが,biglycanはほぼ一定の発現を示すことを示した。平成11年度ではALPのmRNA発現は細胞分化とともに遺伝子・タンパクレベルで増加するが,OPN mRNAは前骨芽細胞および骨芽細胞の両細胞においてほぼ同様の発現を示し,培養日数による変化も示さないことを明らかにした。しかしながら,in vivoにて成熟骨芽細胞に発現するOCとBSP mRNAは両細胞においてNorthern blot法の検出感度以下で,発現の違いを確認することができなかった。これらの結果より,biglycanとOPNは前骨芽細胞および骨芽細胞の機能発現に重要な役目を果たしていると考えられた。 なお,これらの結果については論文発表を準備中である。本研究に関連する論文(2報)を平成11年度に発表した。
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